産経デジタル 抜粋
◆町は自分たちで守る
最大で9869人が死亡するとの想定が出た大阪市港区。区中央部の磯路地域活動協議会副会長で、あんしん部会長も務める佐野耕二さん(60)らは29日夜、翌年のイベントについて話し合いをしていた。子供たちを、地域防災に巻き込むことがテーマだった。
「自分の町や、住んでいる人の命は自分たちで守らないといけない」
かつて行政主導で行われていた避難訓練や、作成された「防災マップ」は消火栓などの情報もなく、不十分なものだった。
「地震のときに本当に避難できるのか」
佐野さんらは「何より、地域の人が『こんな訓練なら参加しなくてもいい』と思うことが怖かった」という。
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地域の住民に向けて平成24年に行った「防災学習」や、今年6月に地域活動協議会主導で行った避難訓練はより現実的な訓練を目指した。学校に備蓄されている食料や簡易トイレを実際に使用したり、自宅を出る際は、ドアノブに白いタオルをかけ、周りの人に安全であることを示すなど、細かいルールも定めた。
訓練をしないと分からないこともあり、「小学校にある無線を使ってみると、聞こえない地域があることがわかった」という。
東日本大震災のときに、岩手県釜石市の子供たちのほぼ全員が避難した「釜石の奇跡」のように、子供たちにも防災意識を高めてほしい-。これが佐野さんの願いだ。
「被害想定の数字は大切。でも『じゃあ、私たちは実際にどう行動するのか』を突き詰めなければ。やることはたくさんある」
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